ベンチャーぼんやり考察

ベンチャー界隈の経営、組織について悩んだり考えたりしています。40にして惑ってます。

プロパーの生きる道

子張問曰、令尹子文、三仕爲令尹、無喜色。三已之、無慍色。舊令尹之政、 必以告新令尹。何如、子曰、忠矣。

最近「論語」を読み出したんです。何となく。まだ途中までしか読んでないのですが、こんな一文があったので紹介します。

子文という人が三度令尹という偉い役職に就いたものの、三度罷免された。役職に就いた際は特に喜んだりせず、辞めさせられた際も不満を言わず、後任にちゃんと丁寧に引継ぎをした。その話を弟子が孔子にしたところ「忠実な人物である」と評価した、という話。

これまでその業務に就いていて、社内においても「自分が担ってた」と自負する初期メンバーが、その後入ってきた優秀な後任にその業務を引継がないといけない場合、前任者は不貞腐れて適切な引継ぎをしなかったり、その業務に固執したりする場合が過去にあった。でも「忠」な人はちゃんと引継ぎを行い、自分は新たな業務を全うする。それがベストだよなぁと。

僕自身も創業期からいろんな業務をやり、いろんな業務を引継いできた。多くはちゃんと引継いだけど、それでも固執してた業務もあったなぁと反省してる。会社の成長をマクロで考えれば引継ぐべきだった。


さて前置きが長くなってしまったが「プロパーの生きる道」の話。

自分自身を思い返すと突出したスキルがあったわけでなく、そのフェーズフェーズで役割も変わってきた。その中で「これはプロパーである僕の仕事だな」と感じてたことがある。それが「理念の浸透」のようなもの。

社長が会社の理念を語るべきではあるが、なかなか伝えきれない場合がある。そこを補足し、さらに社長の考えを噛み砕いて伝える役割。それがプロパーならではの役割なのではないかと思ってる。どういう想いで創業し、どういう世界を築いていきたいか。社長と共に歩み、考えも理解しているプロパー。組織が拡大して人も多くなった時に改めて存在感が増すんじゃないかなぁと。

 

次回は「朝令暮改は正しい」を予定しています。

創業期を終えた成長スタートアップに起こりがちな「社長との距離が遠くなった」問題

創業期を終え、次のフェーズに差し掛かったスタートアップ。事業は成長し、優秀で実績ある新たなメンバーも加入。組織的にも大きく、整備されてきました。そんなタイミングで社内からこういう話が聞こえてきませんか?

  • 社長との距離が遠くなった
  • 後から入社した人が突然上司になった
  • 後から入った人が優遇されてる

実際僕も以前やっていた会社でこんなような話がありましたし、ひょっとしたら他のスタートアップで同じような声が発生しているかもしれません。

これは一体どういうことなんだろう?と少し考えてみました。

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 赤い線が社長。緑がプロパー社員。

多くのスタートアップ、特に次のフェーズにいくような成長している会社の社長はものすごい勢いで成長しています。一方で初期メンバーも成長はしますが、社長の成長スピードや視座の高さには及ばないケースが多々。まぁある程度しょうがないことなのですが、実際こういうケースは多い。社長とプロパーの間にはギャップが生まれてきます。

社長は会社の成長のために優秀な中途メンバーも加入させます。それが上の図の青い線。プロパーにとっては創業期には身近な存在であった社長との距離を感じてた中で、レポートラインに新たなメンバーが間に入ることによりさらに距離を感じます。

上記の「社内の声」はこんなメカニズムで発生するのかと。

 

結局こういった場合は、

  • プロパーに現状の理解を促す
  • 新たに入った中間層のマネジメントに期待
  • 会社として正しい方向性を示し続ける

というようなことをしていくしかないのかなぁと。

 

次回は「プロパーの生きる道」について書こうかと思っています。それではまた。